独自の「距離感を縮める語りかけ」で、本音を引き出す
企業研修や組織開発の場で、頭を悩ませることがあります。
それは「受講者のホンネをどうやって引き出すか?」という問題です。
また人事の方々にしてみても「うちの社員が本音など語るはずは無い」とよく言われます。
どんなに知識やノウハウを詰め込んでも、受講者が本当に感じていること、考えていることが語られなければ、研修の成果は限定的になりがちです。
本音を引き出すことができなければ、建前や綺麗ごとだけが場に漂い、実際の課題や感情の解消にはつながりません。
企業研修や組織開発の場で、頭を悩ませることがあります。
それは「受講者のホンネをどうやって引き出すか?」という問題です。
また人事の方々にしてみても「うちの社員が本音など語るはずは無い」とよく言われます。
どんなに知識やノウハウを詰め込んでも、受講者が本当に感じていること、考えていることが語られなければ、研修の成果は限定的になりがちです。
本音を引き出すことができなければ、建前や綺麗ごとだけが場に漂い、実際の課題や感情の解消にはつながりません。
なぜホンネは話しにくいのか?
職場のような人間関係が複雑な場では、どうしても「周囲にどう思われるか」が気になります。
当然のことです。
受講者が話す言葉には「正しく見られたい」「責められたくない」「評価を下げたくない」という心理が強く働きます。その結果、つい建前や無難な意見ばかりが口をついて出てしまい、肝心の本音は隠されたままになります。
こんなことは、申し上げるまでも無くごく当然のことです。
私が大切にしている研修スタイル:「距離感を縮める語りかけ」
この難題に対して、私は「距離感を縮める語りかけ」を意識した研修スタイルを大切にしています。
これは、ただ単に言葉遣いをカジュアルにするという意味ではありません。
むしろ、受講者の皆さんが心の扉を開きやすくなるように、場の空気や心理的な距離感を丁寧に設計しているのです。
あえて、言葉遣いをはじめ、態度をカジュアルを通り越して馴れ馴れしさ(ラフ)という所まで敢えて持っていきます。
当然受講者の年齢に応じ、若手からシニア層まで男女、そして皆さんが経験してきた過去の経験や歴史まにも入り込んでいきます。そんな振れ幅は極めて大きいものになりますが、受講生に合わせた“場作り”や”持って行き方”が肝となりなされるのは当然のことです。
具体的にはどんなことか?
例えば、私は研修の進行中に、
・相手の話をしっかり受け止め、
・あえて少し肩の力を抜いた表現で、
・そして時には柔らかな共感を示しながら語りかけます。
この語りかけは、相手に「自分の言葉で話してもいいんだ」と感じてもらうためのもの。
こうした「ゆるやかな距離感」を作ることで、受講者の方々が自分の本音や疑問、葛藤を少しずつ言葉にできるように無意識に存在する壁をなくしていきます。
壁をつくらない語りかけがもたらす効果
このように距離を縮めて語りかけることには、さまざまな効果があります。
- 受講者の緊張がほぐれる
堅苦しい空気や形式的な態度が和らぎ、肩の力が抜けるため、素直な意見や感情が出やすくなります。 - 参加者同士の共感が生まれやすくなる
話しやすい空気は、他の参加者も安心して話しやすくなる連鎖反応を引き起こします。 - 本質的な課題が見えてくる
表面的な言葉だけでなく、その裏にある思いや問題意識にアクセスできるため、研修がより深く実践的なものになります。
「テクニック」ではなく「姿勢」
この語りかけは決して、単なる「テクニック」や話術ではありません。
私にとっては、受講者一人ひとりと向き合い、「その人の気持ちを尊重する」という根本的な姿勢の表れです。
研修は「教える」ということではなく、相手の言葉に耳を傾け、相手の中に眠っているものを呼び起こすことが不可欠だと考えています。
本音が見え始めた時、初めて受講生自身が「どうすればもっと伸びるか」「組織として何を変えるべきなのか」を考え始めてくれるのです。
「ホンネの懇談®」とのつながり
実は、この姿勢は私が提供する第三者面談サービスである「ホンネの懇談®」にも深く通じています。
「ホンネの懇談®」では、話す側が「安心して話せる」環境づくりを最重要視しています。
どんなに話し方や内容が完璧でも、「話していいんだ」と感じられなければ、ホンネは出てきません。
私が研修で大切にしている「距離感を縮める語りかけ」と同様に、面談の場でも相手の心をほぐし、自然体で本音を語れるようにする工夫が欠かせません。
これが、心理的安全性そのもので。
本音が出る場をつくる意味
本音が溢れ出る場をつくることは、単なるコミュニケーションの円滑化にとどまりません。
- 個人の成長の促進
- チームや組織の課題の顕在化
- 信頼関係の深化
- 持続的な改善のサイクル形成
といった、組織全体の健全化と活性化に直結します。
さいごに
私の研修や「ホンネの懇談®」で共通していることは、
“よく見せようとする言葉”ではなく、その人自身の「本当の気持ち」に誠実に向き合うこと。
無理にかっこよく振る舞ったり、正しい答えを言おうとするのではなく、
ありのままの自分を伝えられる場だからこそ、初めて対話が深まり、変化が生まれます。
これからも「距離感を縮める語りかけ」を大切にしながら、
受講者や面談者のホンネを丁寧に受け止める場づくりを続けてまいります。